

シャワータイム

2013-09-04 21:12
  348
  9
        70代 彼の女性関係が不安     
     
 70代女性。夫は5年前に他界し、  
その後趣味があう同年代の男性と知り合いました。  
彼も独り身で交際をしてきましたが、  
女性問題が発覚しました。    
先だって、彼が50年ぶりの同窓会に出席し、  
初恋の女性とあったことを私に話しました。  
話の流れで、独り身になった約10年前から、  
30~70代の十数人の女 性と様々な内容の交際を  
していたことが分かりました。  
インターネットなどを通じて知り合ったそうです。    
 彼は、複数の女性と付き合うことに抵抗感が  
ないようです。  
私とは結婚していないのだから交際は自由とも言い、  
独り身同士でも真面目に付き合ってきた私とは  
考え 方に相違があると思いました。    
彼は今では、過去の女性との縁を切って、  
真面目に私と向き合い、後悔させないと言っています。  
果たして彼の決意を信じていいのでしょうか。  
彼の女性問題を私は 我慢できるのでしょうか。  
(新潟・C子)     
     
     
人生案内     
   海原 純子 (心療内科医)     
     
 パートナーとの交際についてのご相談ですが、  
ちょっと視点を変えて考えて見たいと思います。  
人生後半戦に入るとやり残しがないように  
残りの日を過ごそうと思う ものです。     
 私もその一人で、研究をしっかり仕上げたい  
と思いますし、作家は作品を、音楽家は演奏をと考え、  
それは各自の人生の価値観と結びついています。  
こうした視点で 貴方のパーの言動を拝見すると、  
たくさんの女性と関わる日を送りたいと思っている  
ようにみえてなりません。     
 あなたはいかがでしょう。そうした男性に振り回され、  
不安で心を悩ませる日を過ごしたいのでしょうか。  
今一度、ご自分の人生の価値観を見据えて、  
ご自分が本当 にしたいことに集中してみてください。     
 男性はちょっとした人生の彩りぐらいの意識で  
過ごしたほうがかえってパートナーとうまくいくように  
思えます。自分が男性の女性問題を我慢できるか、  
ではなく、 我慢「したいか」「したくないか」と  
こころに問いかけることです。     
     
          『読売新聞』2013年8月2日(金曜日)     
     
 これは、吉田寮シャワー室の机の上にあった  
古い新聞紙を何気なくみた時に発見した  
「人生案内」欄の文章である。面白いというか、  
私達 の目から見ると、70代 の人がこんなことで悩む、  
しかも新聞を通じて誰かに相談するというのは  
ちょっと「新鮮な」ことと言える。  
にやにやと笑いながらささっと読み、  
それをもっと広げ半 分の上にシャワー用の小箱を、  
残りの半分にパジャマを置いた。   
 もちろん、私は単なる相談の内容に関心しただけ  
ではなく、その回答者の言葉にもいっそう興味を持った  
のである。 例えば、「男性はちょっとした人生の彩り 
ぐら いの意識で過ごしたほうがかえってパートナーと  
うまくいくように思えます」という提言。結局、  
Cさんはこのような 答えに納 得できるのだろうか、  
すごく単純化していうと、彼女に「無視」する  
方法を進めたようにも読める。  
まあ、すぐ言い切れない難問でもあるから、  
ほっておこう~と思 ったのに途中で小箱の中から 
ボデイソープを取る際、わざと回答者の肩書きを 
確認したら 「心療内科医」だった。  
「ほほ、なるほど、あなただったら?」と、  
そしてすぐ「私だった ら?」と思わず自問してしまった。  
幸い、無理やりに頭の中であいう「ショックな」場面を  
描いたのではない。で、当たり前だが、その答えに  
ついても続いて想像した のではなく、早速次の  
言葉に興味が移った。  
即ち、「人生後半戦に入るとやり残しがないように  
残りの日を過ごそうと思うもの」って、いったい、  
こう思う人は全 体のどのぐらいの割合を占めている 
だろう、人類ほとんどかな、私を除けば・・・   
 言わば、私にとって、人生は「前半」や「後半」  
と簡単に分けられるモノではない。何故なら、  
人生の旅って、私には一つの「丸い」形をした道のように  
思えるから だ 。つまり、「人は年をとるとかえって  
童心に戻る」というように。   
 しかも、不思議なことに、私は今までの人生の中で  
迷ったり、悩んだりする時、いつも自分に同じ質 問を  
投げかけるくせがある。まず、自分を60代か80代に  
なっていると想像する、そして、「もし私は何らかの  
魔法の力で若帰ってさ、再び30代に戻れたら、  
此時 此刻いった い何をしているだろう?」と、  
(実際、もっと言えば、自分を不幸で死んでしまった  
後に、また復活したと想像する時も多いけどね)  
これは、悩みの解消にはなかなか 効果がある  
ユニックな考え方だよ~ 意外と(笑っちゃうけど)    
 実際、この世には「もし私はまだ十八歳だったら・・・」と  
今の自分より若かったらまるで「何でもできそう」に  
いう人が大勢いる。ただの「やる気満々」でさ~、  
ところで 、それは不可能だろう、ある意味の言い訳  
だろう、明らかに。
言うまでもないが、過ぎ去った年月のことを  
再び閲覧するのは可能だが、
再編輯することができない。  
人類の依存する地球にはこのよ うな機能が付いてない  
のが些か残念だよな。     
  さて、そろそろシャンプーを洗い流す時間だから、  
最後に言っておくと、年齢って気にしないほうが  
いいのよ。20代にしろ、70代にしろ、生かされている  
うちにな るべく悩みを減らそう。  
例え、すでに歩んできた道にやり残されたことが  
あったとしても、「後悔するに値しない」と思えば  
いいのよ、だって長い歴史の流れでみると それは  
本当に大したことではないのだから。常に想像の力を  
活かして、自分の心や年齢及び人生をコントロールする  
ことが実に可能で、幸せに生きる素にもなるよ、 
想 像って!    
  なんがね、このような思いを走らせた背景には、  
公衆電話のボックスみたいな狭くて、地面に破れた  
新聞紙をマットの代わりに敷いたぼろぼろの 
シャワー室 があっ たのよ。そのお陰で、 
世間並みの種々の遠慮もせず、 
一見どんな人にでも合うような 、 
SUPER「人生案内」を粗末に、露骨に、そして 
無責任に 言ってしまったような気がする。 
まあ、どう読むのかをお任せする しかない、  
この中には蒸し熱くて、あまり長い時間いると
ほんまに良くないから、 早く出ないと。    
                      
                          2013年9月4日 



  
     
     