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二月
2012-10-11 15:07
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二月
寒さに慣れたばかりで
告別を迫る時の流れ
淋しさに絶えられないようで
帰郷を急ぐ春の風
雪に包まれた冬ちゃん
季節の背中におんぶされ
夢を見たまま遠ざかる
引き留めようがないのはね…と
赤壁の内側から首を伸ばし
片目で見送る梅の花
あっ、空の扉のカギを渡し忘れたと
裸足で追いかける一人の女児
… …
そろそろ戻って来るころでしょうね…と
立ちっぱなしで待ってくれた木馬と
楽しいそうに遊ぶ女児の姿
ダウンジャケットを抱えた母の目に映る
傍に、知らないふりをしていた
桜の樹もひそかに喜ぶ
そのいたずらの女児の名前を尋ねたら
ほら、私が生まれた「二月」だった。
2012年02月05日 名古屋