 

二月

2012-10-11 15:07
  449
  0

   二月



寒さに慣れたばかりで
告別を迫る時の流れ
淋しさに絶えられないようで
帰郷を急ぐ春の風
 
雪に包まれた冬ちゃん
季節の背中におんぶされ
夢を見たまま遠ざかる


引き留めようがないのはね…と
赤壁の内側から首を伸ばし
片目で見送る梅の花
 
あっ、空の扉のカギを渡し忘れたと
裸足で追いかける一人の女児
 
… …
 
そろそろ戻って来るころでしょうね…と
立ちっぱなしで待ってくれた木馬と
楽しいそうに遊ぶ女児の姿
ダウンジャケットを抱えた母の目に映る
 
傍に、知らないふりをしていた
桜の樹もひそかに喜ぶ
 
そのいたずらの女児の名前を尋ねたら
ほら、私が生まれた「二月」だった。
 
 
                

          2012年02月05日 名古屋 



  
     
     